後から考えると、久保くんに頼らずに奏に付き添ってもらえば良かったんじゃないかなと思う。

 でもこの時は正常な判断が出来なかったのと、久保くんのせいなんだからちょっとくらい迷惑はかけても良いよね? と思ってしまったこともありつい頼んでしまった。


「じゃ、お願い……」

 何より、もう色々考えるのも億劫(おっくう)だった。


 それでもおんぶしてもらった最初は緊張する。

 でも変な所を触ってくるわけでもなく、しっかりと背負ってくれていたので徐々に体を預けていった。


 そうして揺られていると、どうしたって瞼が落ちてくる。

 せめて寮に着くまでと思っていたのに、あたしの体力はそれを許さなかった。


 寮に着くのを待たず、あたしは久保くんの背中に身を預け意識を手放した。