倉庫の奥まで連れて来られたあたしは彼女がどう出るのかを黙って見てみることにした。


宮根(みやね)先輩、連れてきました」

 あたしを連れてきたうちの一人がそう言って、周りを囲んでいた女子とともに離れていく。


 「ありがとう」とその子たちに言った三年生と思われる彼女は、いつものようにあたしを睨みつけて言葉を放った。


「あなた、何で呼び出されたか分かっているかしら?」

「……いいえ?」

 本心からそう答えた。


 だって、基本的には学校で人気のある男子たちと仲良くしてるからってことだと思うけど、この宮根先輩が誰を一番に思ってこういう行動をしたのかは分からない。

 でも、あたしの言葉は彼女の感情を煽るには丁度良いものだったみたい。


 宮根先輩はまなじりを釣り上げて叫んだ。

「あなた《月帝》の幹部にすり寄り過ぎなんじゃない!? しかも《星劉》や生徒会長にまで色目を使って!」

「いや、色目なんて使ってないんですけど……」

 一応反論するけど、彼女は聞く耳持たない。
 というか、聞いていない。


「それに、今日なんて――!」

 震えながら、驚愕の表情を作る宮根先輩。