「なっ!?」

「おい久保! 総長命令があったんだろ? もう美来に手ェ出すんじゃねぇよ」

 勇人くんがそう言ってあたしの頭の上にある久保くんの手を払ってくれる。


 久保くんはそんな勇人くんにフンと鼻を鳴らした。

「まあ、あったな。セフレはダメだって」

「だったら!」

 次に明人くんが噛み付くけれど、久保くんはニヤリと笑う。


「“セフレ”は、ダメって言われたんだよ」

「は?」

 意味深な言い方に嫌な予感がする。


「カノジョなら問題ねぇだろ?」

『はぁ!?』

 思わず三人揃って声を上げた。


「カノジョとかいた事ねぇけど、それならヤっても問題ねぇだろ?」

「……」


 開いた口が塞がらないってこう言うことかな?

 もうどこから突っ込めばいいのか……。


 取り敢えず。


「カノジョは性処理の道具じゃないからね……?」

 それだけは言っておいた。


 久保くんは「そうなのか?」なんて本気で言っていたけれど、もうこれ以上説明する気力もない。

 どっちにしたってあたしが久保くんの彼女になるわけがないし。



 そんな感じで教室に戻りみんなと別れる。

 その後もいじめの方は色々とやられていたけれど、大したことじゃないからすぐに対処できた。



 そうして放課後。

「星宮さん、ちょっとついてきてくれない?」

 女子の集団に呼び出される。



 待ちに待った瞬間に、あたしはついニヤリと頬を緩めた。