地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 あとは眼鏡を拭いて掛けなおすと、ハンカチをなっちゃんに返す。

「はい、ありがとう」

「……」


 ハンカチを返そうとしているのに、彼女はボーっとして受け取ってくれない。

 どうしたのかな? と首を傾げると。


「星宮さん……そんな顔してたの……?」

 はっ!!?


 やばっ! ふっつーに眼鏡取っちゃってたよ!

 学校では取らない様に気を付けてたのに!


 やっぱり色々疲れてきてるのかも知れない。

 嫌な予感がしてたのにも関わらずこんな風に水を(かぶ)っちゃうくらいだし。


「えっと……内緒ね?」

 人差し指を口に当てて小首をかしげてみる。

 周りに人はいないし、彼女が黙っててさえくれればバレないはずだから。


「うっ……わ、分かった」

 そう約束してくれて、やっとハンカチを受け取ってくれた。


「それと、ごめんなさい。こんなことしちゃって……」

 いたたまれないのか目を逸らしてだったけど、ちゃんと謝ってくれる。

 そんな彼女にあたしはフッと笑顔を返した。


「いいよ。なんとなく状況は分かるし……。それに、水変えてくれたんでしょう?」

 なっちゃんをけしかけた子達は掃除後の汚い水だと言っていた。

 でも、この水はそんな匂いはしないしゴミが付いていたりもしない。