……ああ、こういうパターンね。
胸糞悪い。
「あー、そろそろ授業始まっちゃうじゃん! なっちゃんここ片付けてからおいでよー?」
そうして三人は言いたいことだけ言って走って行ってしまった。
後に残されたのは泣きそうな顔であたしを見て震えているなっちゃんと呼ばれた女の子とびしょ濡れのあたし。
彼女は持っているバケツをカタカタと鳴らすくらい震わせて「ご、ごめ、なさっ」と呟いている。
はぁ……しかたないなぁ。
あたしはなっちゃんに近付くと、片手を差し出した。
ビクリと震えられてしまったけれど、気にせず告げる。
「ね、ハンカチかティッシュ貸してくれない?」
「……え?」
とりあえず眼鏡を拭かないと良く見えないので困る。
でもそういうのは制服と一緒に更衣室に置いてきてしまった。
なので、彼女から借りるしかない。
「あ、は、はい!」
最初は何を言われたのか分かっていないような顔をしていたなっちゃんだけど、状況を理解したのか素直にハンカチを貸してくれた。
あたしは眼鏡を取って先に目の周りだけハンカチで拭くと前髪を払う。
これで見えやすくなった。



