地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 嬉しいけど困ってしまうから、あたしは仕方ないなぁって顔で。

「だから大丈夫だって言ったでしょ?」

 と伝えておく。


 するとしのぶはムムーッと少し怒ったような顔になって――。

「でも、嫌な気持ちになるでしょう? そういうの、少しでも減らしてあげたかったんだもの」

 とすねたように言った。


「……」

 あたしは言葉が出ない。


 大丈夫だと思っていた。

 されるのは初めてだけど、色々見てきて対処法は分かってるしって。


 でも、しのぶの言葉で気付いた。


 ああ、そっか。

 あたし、少なからず傷ついてたんだなって。

 しのぶの言う通り、何かされる度に嫌な気分になっていたから。


 そしてそれを無視する周囲の人達にも、理解を示しながら不満を覚えていたことも。


「もう、ホントに……しのぶってば……」

 泣きたくなってくるくらい。

「大好き」

「え!? なに? 嬉しいけど、何で突然!?」

 驚くしのぶに抱き着きたくなるけど、周囲の目もある。

 大好きなしのぶだから、やっぱり巻き込みたくない。



 ……それに、多分もう少しで決着も付くだろうし。


 奏も動いてくれてる。

 いじめの方もどんどん活発になってきた。

 シューズロッカーの件とか色々と(あお)ってるし、そろそろしびれを切らしてくるかもしれない。


 出来れば今週中に終わらせたいなと思いながら、いつものようにしのぶを渡辺さん達に引き渡した。