その後、午後の授業には出ない久保くんは何事も無かったようにどこかへ行ってしまう。
いや、謝ってよ。
と思わなくもなかったけれど、これ以上何かされたらたまったものじゃないからグッと我慢した。
代わりに明人くんと勇人くんに恨みがましい視線を向ける。
「助けてって言ったのに……」
二人にはそこまで怒ってなかったんだけれど、久保くんへの恨みも残っていてちょっと八つ当たりしてしまった。
「や、あれは……その……」
「わ、悪かったよ」
でも視線を反らしながらだけれど素直に謝ってくれたので、あたしもすぐに許す。
「まあ、何とかなったしいいよ。それに何か二人とも様子がおかしかったし……。大丈夫なの?」
八つ当たりしてしまった申し訳なさもあって心配の言葉をかけたけれど……。
「だ、大丈夫だ!」
「美来、それには触れないでくれ……」
耳を真っ赤にさせながらそんな風に言われてしまう。
赤いし、熱でもあるのかな?
でもそれには触れないでって言ってるし……。
「……体調悪いなら保健室で休んでね?」
とりあえずそれだけは伝えた。
何故か微妙な顔をされたけれど。
「じゃああたし今日は先行くね? 次の授業体育だから着替えないと」
「そっか、分かった」
「じゃあまたな」
そうしてあたしは二人とも別れて教室へ向かった。



