地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「手を繋ぐのはまあ、それも誤解を招くけど。でもキスしちゃうのは完全に誤解しか生まないから! だからこういうのは好きな子にしかしちゃだめだよ?」

 女嫌いだっていう二人だから、きっと女友達の距離感が分からないんだよね。

 ここはあたしがしっかり教えておかないと!


「いや、あの……美来?」
「お前なぁ……分かれよ」

 勇人くんは苦笑いし、明人くんは脱力する。


 分かれって、何を?

 明人くんの言葉に少し首を傾げていると、突然後ろに気配を感じる。


 その気配に対処しようとした時にはすでに遅く、お腹の方に腕を回されて抱き込まれていた。

「やぁっと捕まえたぜぇ、美来ー」

 地を這うように恨めし気な声が耳元で聞こえる。

 その声が誰のものなのか理解すると、あたしは盛大に顔を引きつらせた。


 く、久保くんだ!

 ヤバイ、しっかり捕まっちゃった。


 油断してしまったことに物凄い後悔が押し寄せてくる。

 そんなあたしの耳元で久保くんはさらに言い募った。


「覚えとけ。男は逃げられると捕まえたくなるもんなんだよ」

 だから二度と今日みたいに逃げるなと釘を刺される。

「わ、分かった」

「本当に分かってんのか?」

 不満そうな声が直接鼓膜に届く。