地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 すみれ先輩、ちょっと変わった人だけれどいい人みたいで良かった。

 ここのテーブルで食べるときは楽しみになりそう。


 そうホワホワとした気分で思っていたんだけれど……。


「……有栖川?」

 少し低くなった声で生徒会長が言うと、すみれ先輩は「うっ」と言葉を詰まらせて自分の椅子に戻る。

「……だって、仕方ないじゃないですか。可愛いんですもん」

 唇を尖らせて、食事を再開するすみれ先輩はそんな文句を言った。


 すると、生徒会長の視線があたしに真っ直ぐ向けられる。

「そうだね」

 そう言って浮かべた彼の笑顔は一見優しそうなふわりとした笑顔。

 でも、あたしは見逃さなかった。
 一瞬きらめいた、妖艶な光を。

「僕も、可愛いと思うよ」


「……」

 あたしの正体、バレてないよね?

 そう確認したくなった。

***

 チーズケーキを半分食べると、すみれ先輩にお皿ごと返してあたしは先にテーブルを後にする。

 すみれ先輩には名残惜し気にされたけれど、これ以上あの生徒会長と対面していたくなかった。


 それに、ちょっと明人くんと勇人くんに用がある。

 先に食堂に来てしまったことを謝らないとって思ってたから。