地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 良くは思われていないと思ったけれど、やっぱり嫌われてはいないみたいだと分かってちょっと嬉しい。
 
 それに奏にあーんはダメだと言われたのは異性に対してだ。

 相手は女子なんだからいいよね?

 何より、相手の方がやりたいって言ってるんだし。


 そこまで考えて、あたしは「じゃあいただきます」と断ってからパクッと食べた。


「ふわあぁ……」

 ふわりと口の中に広がるチーズの香り。
 ほどけて溶けていくような食感。
 そしてほど良い甘さ。

 口の中からその存在が消えると、甘さはスッと消え去り芳醇なチーズが残り香の様に余韻を作った。


 凄い!
 これ本当に美味しい!

 今まで食べた三つのデザートの中で一番美味しかった。

 これはリピ決定だね。


 と考えて、チーズケーキをくれた彼女にお礼を言おうとした時だった。

 カチャン……と音を立て、フォークがチーズケーキのお皿に落ちる。

 フォークを落としたその先輩は、無表情で立ち上がるとふらりとあたしに近付いてきた。


 え? 何?

 あ、もしかして自分からやらせておいて『あーんとか行儀が悪い』なんて文句つけるとか?

 でもそれって詐欺じゃない!?


 と身構えていたんだけれど……。