地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「ごちそうさまでした」

 はぁ~、美味しかった。

 全部食べ終えて手を合わせると、満面の笑みで感謝の言葉を口にする。


 でも……。

「ちょっとたりなかったかな?」

 全体的な量が少なかったのか、少し物足りない。

 デザートも頼めばよかったかな? と思っていると。


「物足りないの? だったら私のチーズケーキ半分あげましょうか?」

 お隣から素敵な提案が伝えられた。

「え? い、良いんですか?」

 やっぱり食に貪欲なあたしは、遠慮するより先に本当にいいのかを聞いてしまう。


「え、ええ。食べたくて頼んだは良いけれど、全部食べるのは無理かと思っていたところだから」

 そう言ってチーズケーキを一口大に切り取って、フォークに刺したものをあたしに向けてくれる。

 そして「さ、あーんして」と言われて流石に少し驚いた。


「え?」

 良く思われていないと思ってた人にされることじゃないから、ちょっと戸惑う。

 すると彼女は少し目を逸らして言った。


「そ、その……他のテーブルであなたがこうしてたのを見てたから……」

 何だか恥ずかし気にごにょごにょ言われる。

 良く分からないけれど、彼女はあたしにあーんをしたかったってことかな?