彼ら(いわく)

「美来がそんなことしないって分かってるから話してるんだぜ?」

「美来のこと信じてるから言えるんじゃない」

 だそうだ。


 本人達は言った通りにあたしを信じてくれているんだろう。

 でも、それを聞いた人までそうとは限らないんだ。


 結果、不名誉な噂は通っている学校に限らず同地域内にまで広まってしまった。


 とは言え身近な人は噂を本気にしていなかったし、以前よりちょっと地元が歩きづらくなったって程度だった。

 学校の中でも嫌われている不良達辺りからは(ののし)られたけれど、どちらかと言うとその不良達の方がみんなから嫌われていたし大した被害はなかった。


 そのまま夏休みに突入して、休み明けには噂も落ち着くだろうってあたしもみんなも思ってたんだ。


 ……でも、その夏休みも半ばという頃。

 たまたまその日は両親だけ実家の墓参りのために一泊してくるということで、家にあたしと奏しかいない日だった。


 そんな日にあたしは親のパソコンで暇つぶしにネットサーフィンをしていた。

 そして見つけてしまった一番仲の良い友人の裏アカウント。


 噂は事実だとか、それよりもっとひどいことをしているとか散々書き込まれていた。


 今だったらもう少し冷静になって考えれるだろうけれど、当時のあたしはそこまで強くはなかった。

 それに、なんだかんだ言っても噂に気疲れしていたんだと思う。