「まあいいさ。おいおい分かることだ」

 そう言って手を離すと、如月さんは視線を残っている料理に向けた。

 見透かすような眼差しが外れてホッとする。


「じゃあ、失礼します」

 あたしはこれ以上何かを言われる前にこの場を早急に去った。


 食堂を出てすぐのトイレに入り込み、髪を結いなおす。


 ったく、キッチリ結うのって結構大変なのにー!


 内心文句を言いながら結いなおすと、すぐに教室に戻る。

 あんまり長く教室を離れていたら何をされるか分からないからね。


 いじめの方も考えなきゃないってのに、如月さん達に《かぐや姫》だってバレない様にもしなきゃならないとか。

 ちょっとやることや考えることが多すぎじゃない?


 足早に教室に入り自分の席に着くと、周りからチェックする。

 今朝みたいに散らかされていたりということはなさそうだけれど……。


 椅子に座り、次の授業の準備をしようと机の中に手を入れた時だった。

 ん?

 何か硬いものが当たって慎重に取り出す。


「うわぁ……」

 出てきたのはめいいっぱい刃を出された状態のカッターだった。

 しかもご丁寧に次の授業の教科書に挟められている。


 下手をしたらケガをするような状態。

 安物のカッターだしそこまでは切れ味がいいわけではないけれど……。

 でも一気に危険度が増した感じだ。