あたしは何とか怒りを震えだけに留めてニッコリ笑顔を作った。

「ちゃんと、説明、お願いね?」

 一言一言に力を()めるようにそう告げる。



 そうして三人そろってAランチを頼み、四角い長テーブルのところに座った。

 その間にまずこの学食のルールを梅内さんから教えてもらう。


 このマンモス校である佳桜高校では、あたし達みたいな一般人からお金持ちの御曹司やご令嬢など色んな生徒がいる。

 それらに明確な垣根(かきね)は無いと表向きにはなっているけれど、実際に生活する生徒が本当に垣根を越えて交流なんてそうそう出来るわけがなかった。

 結果、暗黙の了解で色々なところに格付けがされるようになっているのだとか。


 そしてこの学食に関してなんだけど、あたし達が今座っているのが一般生徒用。

 次にお金持ちの子息や令嬢が座る丸テーブル。

 二階席は、もっと上。
 政界にも顔が効くようなグループ商事の御曹司や古くからの伝統のある家柄の令嬢。

 そして、この辺り一帯を仕切っている暴走族・《月帝(げってい)》と《星劉(せいりゅう)》の幹部だけが使用できるらしい。


「…………」

 あたしは食べようとしていたコッペパンを一口大にちぎったところで固まり黙り込んだ。