地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 ってことは半分は本気だったんじゃない!

 やっぱり変態だ。

 出来る限り近付かない様にしよう。


 仲良くしておこうと思っていたけれど、こんな風に迫ってくる人だったとは……。

 しのぶが言っていた幹部の女好きって久保くんのことだったんだね。

 女好きって言うか、これもはや女の敵だよ。


 あたしは双子に守られつつ再び食堂へ向かいながらそんなことを考えていた。



 少し歩いてから前を歩く久保くんが「あ」と思い出したかのように声を上げ、顔だけをあたしに向ける。

 ニヤリとした笑みは意地が悪そうだ。


「半分冗談だったけど、お前がヤりたいんだったら良いんだぜ?」

「は?」

「第二学生寮は楽だけど、住人以外の深夜の出入りは禁止されてっからさぁ。女連れ込めねぇんだよな」

 ……つまり?

「その点お前なら住人だし? いつでも抱けるじゃん?」

「……」


 あたしは数秒黙った後、大きく息を吸ってゆっくり吐いた。

 さっき騒がしくしたばかりだってのにまた騒ぎ立てるわけにはいかない。

 お昼御飯が遅くなる。


 何とか感情を押し流したあたしは、感情のこもらない声で告げた。

「丁重にお断りします」

 すると何が面白いのか大口を開けて「はっ!」と笑う久保くん。

「俺がここまでしても全くなびかねぇ女ってのも珍しいな。ホントお前面白れぇよ、美来」

「いや、もっといるでしょ」

 思ったことをそのまま言ったんだけれど、それすらも面白かったようで久保くんは楽し気に笑い歩いて行く。


 そしてそのやり取りを聞いていた双子に、夜はちゃんとカギを掛けろよと念押しされたのだった。