「何にしても現状が一番面倒な時期だからなぁ」
この先を思うとうんざりしてしまう。
いじめには主犯がいるものだけど、その主犯をどうにかしなければいじめは続くものと思った方が良い。
でも今は誰がその主犯か分からない状態。
この場合の対処は大きく分けて二つ。
情報を集めて特定するか、おびき寄せるかだ。
そしてあたしは後者を選ぶことにした。
だって、情報を集めようにも転入したばかりで伝手もないし、何より生徒数が多すぎる。
特定出来たとしてもかなり時間がかかるだろう。
その点おびき寄せるならエサを用意すれば良いだけ。
主犯にとってのエサが何になるかが分からないと出来ない方法だけれど、今回はハッキリしている。
このいじめの始まりはあたしがこの学校で人気のある《月帝》や《星劉》の幹部に気に入られ始めているからだ。
だからそれがエサになる。
もっと率先して関わって行けばいじめの酷さも加速するけれど、主犯がしびれを切らすのも早いはず。
そうなったらあとはこっちのものだ。
「……問題は、出来るなら率先して暴走族なんかに関わりたくなかったってところだよね……」
はあ、とあたしの大きなため息が教室に響いた。



