「何でそんなに驚くの?」

「いや、年上だと思ってたから……」

 改めて聞くと、連絡は取り合っていてこの学校に通っているというのは聞いたが、年を聞いたことは無かったので三年だと思いこんていたと奏は言う。


「あはは、あたしも《シュピーレン》さんは年上だと思っていたからお互い様だね。転入生が同じ二年だって知ったときは驚いたもん」

 あたしと奏のやり取りを見ていた梅内さんは、そう言って奏に右手を差し出す。

「直接会うのは初めましてだね。《シュピーレン》さん、会えて嬉しいよ」

 そう笑顔を向ける梅内さんは、地味な奏に会っても落ち込んだりしている様には見えなかった。

 あたしの不安は杞憂(きゆう)だったみたい。


「ああ、俺も会えて嬉しい。これから妹共々よろしく頼むよ」

 明るい雰囲気の梅内さんにつられてか、奏も笑顔になって彼女の手を握って握手をした。


 こうして転入早々に会いたい人に会えた奏に良かったね、と内心思いつつ。
 でも出来るだけ早くこの場を去りたいあたしは二人に提案した。

「さて、じゃあ早く学食に行こう?……なんか視線が痛いし」

 そう言って視線だけで周囲を見回す。


「うわっ、マジで地味。地味子の見本って感じ」
「ってか本当に双子なんだな、地味さもそっくり」

 何か、あたしと奏二人が揃ったら更に悪目立ちしている気がする。

「そうだね。じゃあ行こっか?」

 梅内さんも周りの様子に気付いたのか、そう言ってくれる。

 そうしてあたし達は逃げるように学食へと向かった。