地味男はイケメン元総長~番外編集~

 その辺りで俺はよし、と意気込む。

 丁度倉木の話題になったし、ちょっと無理矢理かもしれねぇけど話の方向を変えた。


「そういや倉木って、日高と付き合ってから変わったよな?」

「そう? どんなふうに?」

「んー、女らしくなった? 恋する乙女って感じ」


 俺の答えに、沙良は片眉を上げるような器用な表情をして唇を尖らせた。

「……まあ、灯里は結構前から日高の事好きだったみたいだしね。両想いになれてうれしいんでしょう?」

 これは、何か拗ねてる?

 良く分からなかったけど、俺はそのまま話を続けた。


「そうだろうな……」

 そう同意してから、ドクドクとなる心臓を意識しないようにしてまた口を開く。

「じゃあ、お前は?」

「ん? どういう意味?」

 聞き返されて、言葉を選ぼうと少し考える。

 でも良い言葉なんて見つからなくて、結局そのまま直球で言うしかなかった。