あいつは女にしてはサバサバしてて、気持ちのいいヤツだ。

 だから、友達としては結構好きなタイプ。


 でも、だからこそ女として見ることは無かったのに……。


 それが変わったのは、校外学習での言葉がきっかけだった。



『小林の顔とか好みだよ』


 日高が実はイケメンだって分かったあの夜。

 好みの顔じゃないからと反応が薄かったアイツに慎也が聞いた。

 どんな顔が好みなのかって。


 そうしたら俺を見てそう言ったんだ。


 好みの顔ってだけで好きだと言われたわけじゃない。

 それに、たまたま好みに当てはまる身近な男が俺だけだったってだけかも知れない。


 だから、そんな大したことじゃなかったはずなんだ。

 でも、思い返せばあれが始まり。


 俺が、アイツを女として見るようになった始まりの出来事だったんだ。