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「なぎ、わかんない」


家帰ったら、もっとやばいやつがいる。


机に対面した食後、お風呂上がりですでに眠たい私を引き止めて勉強教えてコール。
3日前から。


「なんでこうも数学だけできないんだろーね」
「やる気がないから」
「やれよ、授業聞け」
「あの先生呪文みたいで眠い……」


わかる、けどさ。


「……ねぇね、なぎ」
「ん？」
「テスト、1位取ったら褒めて」
「……えー、それほんとに取れる？」
「約束してくれるなら取る」
「学年1位抜かすんだよ？」
「抜かす」
「……まぁ、1位取れたら褒めるでもなんでもするけどさ。
1位取れたときだけね？」


もえは目をキラキラさせて、うん、と頷く。


その壊滅的に無理な数学を抱えて、本当にどうする気かは知らないけど。


別に1位じゃなくたって褒めるくらい褒めるのに。
頑張る人はみんなすごいと思うんだけどな……。
私がそんな1位至上主義に見えるのかな？
……やばすぎでしょ。