私の知らない恋の話。

サラサラふわふわの色素の薄い髪。前髪が少し目にかかりそうなのがやけに似合ってんのがあれだよ。


失礼な表現かもしれないけど量産イケメン。
漂う雰囲気が、ほんわか。な。感じ。


すごい絡みにくいけど。無口で。


「どこ」
「ここだって」


私はもえに近づいて、手を伸ばすとぴょんと跳ねた寝癖の部分を摘んでみる。


「……ん?」
「ヘアアイロン貸してみ?」
「ん」

背負ったカバンを気にしながら、もえが手に持っていたアイロンを受け取ると後ろの跳ねた髪を押さえつける。


「ん、できた」
「ありがと」


私が整えた後ろの髪を指ですくと、満足そうに笑って、俺もなぎと一緒に行く、とつぶやいた。


「まだ制服着てないじゃん」
「うん」
「うんじゃないし。バレてもやだし」
「……ん?」
「んじゃない。先行くから」