私の知らない恋の話。

「……別に」
「ん、そう?もえは何出るの?」
「……わかんない」
「八城は100メートル走でるよ」



知られたくなかったから、言わなかったのに。



「あらー目立つね。転けないように」
「……転けたら病む」


そんなの、かっこ悪すぎるし。
言わなきゃ、絶対見られないから何位になっても大丈夫だったのに。
……一位以外の選択肢無くなった。
どうしよう、病んだ。


なぎにかっこいいって、思われなきゃ生きてけない。


「……絶対見ないでほしい」
「いい結果になるかもしれないけど?」
「だめ」


わかった、と苦笑いするなぎ。


「深凪ちゃん、俺は見てほしい」
「あー、うん、覚えてたら。直前にまた言って?忘れちゃうから」
「リレー最後だからね、忘れちゃうよね」


なぎは、記憶持たないよね、なんて言いのこして、水分取ってくると離脱して行った。
目的を失った、気まずい男2人。