私の知らない恋の話。

私がそもそもナンパされてることに気づかなくて、慌てて顔を上げたら、……なんか見たことある顔。


「……和也さん」
「え、深凪じゃん。久々〜。何?まだ隼人と付き合ってんの?」


中学の時の2個上の先輩で、4月から夏の大会が終わるまで、結構仲良くしてくれてた。
……隼人っていうのは一個上の例の元カレ。


「あ、いや……」
「あ、そうなんだ〜、ごめんね?」
「いえいえ、そんな。全然気にしてないです。
……ていうか、先輩、まだナンパとかしてるんですか?」
「あはは……可愛い子見つけるとついね」
「割と女なら誰でもいいとこあるでしょ?私の顔見てなかったみたいですし」



あ、バレた?なんて言って笑う和也さん。
やめてほしいくらいニコニコだ。


「……なぎ」


……あぁ、ほら。
彼氏じゃないのに、ヤキモチやきな、うん。


「あれ、彼氏?」
「いや、幼なじみです。京都行ってきたんですよ」
「あ、いいじゃん、何?狙ってんの?」
「いや、逆です」
「……ん?」