私の知らない恋の話。


もえの用意してくれた朝ごはんを食べ終えると、制服を着に部屋に戻る。
カッターの上にオフホワイトのカーディガン、そして紺のブレザー。もう春なのに結構寒い。
ブレザーより少し薄い色のチェックのスカートはやけに短い。
マジで誰のセンスなんだろうか。


鏡で赤リボンの向きを確認して、再三髪を確認すると、部屋を出た。


「もえ、先行くね」
「んー……」


洗面所にいるもえに声をかけると、ちらっとこっちを見て、軽く流された。
……。
なんだろう、5年離れてるうちにこんなんだったっけ、って。
眠たげな顔して、無理やり跳ねた髪を押し付けるもえ。


「後ろ、跳ねてんよ」
「ん……」


髪の表面をさーっと撫でて、どこ?みたいな顔で私の方を向く。


あのね、少しだけ思うこと。


「もうちょい右」


見ない間に顔整いすぎじゃない?
ぺたんこだった鼻は整形したんかってくらい高くなってるし、綺麗な色の唇に、顔に合わせてつけました、みたいな二重。