私の知らない恋の話。

降りた先で、もえが私の着物を引いて、もう一枚、なんて言うから、仕方なし。
クルクル回って盛れる位置を探して、もえとツーショット。


「……なぎが可愛い」
「今日それしか言わないね」
「……可愛い」
「わかったから」
「なぎってテレたりしないよね」
「恥ずかしい時は恥ずかしいよ。ボール顔面キャッチとか」
「……なんか違う」


むぅっと口を尖らせて、すごく不機嫌なもえ。




夕方まで京都を練り歩いて、お昼は結構高そうな和食屋さんでご馳走してもらったり、八つ橋買ったり、お抹茶味のアイス食べたり、大きいお城見たり。
陽が落ちてきたくらいの、着物姿のもえが映えすぎて、ちょっと盗撮してしまったり。


そして帰りの電車。


「……眠い」
「寝ていいよ」


今朝とは逆の光景に頭を抱える。
引きこもりな私としては、丸一日外で歩くと割と体力の限界だったり。


しかも。


「立ったままで寝れたら苦労しない」


すごく、被った。ラッシュに。