私の知らない恋の話。

「……そんなこと聞いてないんだけど」
「なぎが机に置いてくれるなら欲しい」
「これならいいよ?」
「ほんと?」


もえは嬉しそうな顔で、レジ行こ!と私の手を引いた。
ここでも私の財布は押さえつけられて、お金は払わせてくれなかった。


「……綺麗だね」
「ん?」
「なぎが」


逸れないで、とまた手を握り直して歩き出してすぐに、もえは顔を赤くして言った。


「……そんなテレるなら言わなくても」
「言いたくなった」
「ふぅん、ありがとう」
「……ん」
「もえも、いつもよりかっこいいと思う」
「……ほんと?」
「なんでこのタイミングで嘘言うと思うの?」


わかんないけど、というもえはわかりやすく私の手を握る力を強める。


「いいじゃん、編み込んでもらって可愛い……てか、ピアス開いてるくない?」
「……ん、まぁ。昔遊んでた、名残り……?」