私の知らない恋の話。

着付けてもらって、髪までふんわりお団子してもらった。
鏡の前でクルクル回ると、あぁ、馬子にも衣装ってこう言うこと言うんだろな……なんて思いつつ、もえの方に顔を出しに行った。


「……かっこいいじゃん」


普通に、びっくりした。


「……なぎも似合ってる」


紺の着物。
髪も今朝のノーセットから、前髪かきあげて、サイドの髪を編み込んでもらってて。
振り返った姿は様になりすぎて、撮影か何かと思った。


「いいね、なぎ。顔派手だからそれぐらいのが良い」
「……それ褒めてる?」
「すごく褒めてる」


もえはご満悦で私の手を握ると、店を後にした。


「え……もえって和服似合うんだね」
「そんな似合ってる?」
「うん」
「……嬉しい」


清水寺の下の道をやけにニコニコで歩く。


「こーゆーとこいいね」
「うん、ゆっくり歩けて好き」


私の言葉にもえは優しい顔で返事。
……笑ってるの、久々かもしれない。
最近は、ずっと泣き虫だったから。