私の知らない恋の話。

引っ越しの当日に、「ごめんね、八城さんのところのもえぎくんがお家借りるのにトラブっちゃったらしくて可哀想だから一緒に住んであげて」と笑顔で言ったお母さんに結構ブチ切れそうになった記憶がある。


「何時に帰ってくる予定?」
「部活、見に行くだけだから早め」


今は部活見学期間。
全く入る気のない私は、とっとと帰るつもりだけれど、もえはそうでもないらしく、何か見に行くご様子。
聞いたところによると中学はサッカー部だったらしい。


にしても。


「……いける?」
「美味しい」


ここに来てから、基本的に料理はもえがしてくれてるんだけど、何故かすごく料理が上手でして。
流石に洗濯は別々で交互に洗濯機の使用権が回ってくるんだけども、他の掃除やらお風呂掃除やらも全部もえがしてくれてて。


なんか……いたれり、つくせり……?
私、すごく有能な同居人捕まえてしまったかもしれない。