よし、やっぱりりーくんも誘おう!

 っていうか、前半の時に、雨降っちゃったとしても、パラパラぐらいだったらりーくんと回れるかなぁ?

 うーん。まぁ、誘ってみるかぁ。

【りーくん、今度花火大会の前半一緒に行かない?】

 諦めたことをもう一度してしまう、私、バカだななんて思いながらも、大事な幼なじみのりーくんと花火大会に行きたいという気持ちが勝ってしまった。

【いいの!?】

【うん!!ななちゃんとは後半回るから】

【わかった!楽しみにしてるね】

【うん!】
 
 そんな感じで連絡をして、りーくんを誘った。


「今日は転校生がきてまーす」

 先生の声に、ピクリと体が反応をする。

 て、転校生……?

ガラガラ。

「二葉夏弥……」

 横向いてそう言った夏弥さんに対して、みんな無口だ。

 女の子も、珍しく騒いでいない。

「えー二葉くんは有栖さんの隣の席になります、有栖さん、手をあげてください」

「えっ、あ、は、はい!!」

 ガタッと立ち上がってしまったが、その次の瞬間足の力が抜けてポスッと、また椅子に座った。

「ねぇ、夏弥様キャラそっくりっ……!!」

「嘘でしょっ……!もうやばい……!尊死しちゃうっ……!!」

 ざわめき出した周り。

 ああそういうことか。

 確か夏弥さんと広さんは塩系のキャラだったから……。

 じょ、女子たち、すごいなぁ……そろって……。

「夏弥さん、よろしくお願いしま——」

「同級生なんだからタメ口にしろよったく変わんねぇな」

「え?あ、う、うん」

「あと、お前無防備すぎんだよ、もっと気をつけろ」

「あ、は、はいっ……」

 にしても、なんでこんな時期に転校……まぁいいや。にしても、クラスに誉さんと夏弥さんがいるなんて……。

「なにボーッとしてんだよ、こっち見んな」

「ご、ごめんなさ——なやちゃん……」

「っ、あ?」

「な、や……ちゃん?」

「な、なに言ってんだよ」

「なやちゃんだ……」



『ほーら胡桃のバーカ!!』

『ひ、ひどいよなやちゃん!!』

『なやちゃんって呼ぶな!!』

『こら!!このクソガキが僕のくるちゃんをいじめるな!!』



 うーん。そういえば、こんなこともあったなぁ。

 小学生の頃、よく私に意地悪してはななちゃんに反撃されてた男の子。夏弥くんと言って、呼び方がななちゃんと被るからなやちゃんと呼んでいた。

 雰囲気も、背も全然ちがくてビックリしたけれど、ちょっと大人っぽくなっただけでなやちゃんだ。

 なんて冷静に思ってる私なんですけども……。

「なやちゃんでしょ?」

「っ、あーそーだよ」

「認めたなっ……!このっ……!カッコよくなっちゃって……!!」

「っ……」

 気まずすぎる……。

 まさか、あのなやちゃんが、超人気アイドルグループの夏弥だったなんて……。

 じゃあななちゃん、知ってたのかな?

 んーでもななちゃんのことだから忘れてそう。

「……ガキの頃は、ごめんな」

「へっ?」

「許せ」

「ぷぷっ、変わってないけど、ゆるちてあげるぅ〜」

 そう言ってにゃっと微笑むと、顔をちょっの赤くしたなやちゃん。

「はぁ、お前ってヤツは相変わらず……」

「ふふふっ、いいでしょ、変わらなかったって」

「ああ、好都合だ。お前を奪うには、な」

 ああしか聞こえなかった私は、そのあとの言葉をまだ知らない。