地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

　あたしは頬にある陸斗の手に自分の手を重ねる。

　節ばった、男の硬い手。陸斗の手。


　それに愛しさを感じながら口を開いた。


「皆の前でキスまでされるのは、やっぱり困る」

　まずはそれを伝える。
　心の奥底で本当は嬉しいと思っていても、今回みたいに困ってしまう状況になるのは出来れば遠慮したいから。

　でも、それでも一つだけは伝えたい。

　あたしの心からの本心。

　陸斗もさらしてくれた、独占欲を。



「でもね、陸斗に求めて貰えるのは嬉しいの。だから……だからもっとあたしを欲しがって？」

　言い終えると同時に息を呑む音が聞こえた。

　もう片方の頬にも手が触れ、引き寄せられる。


　永遠の様な深いキスの後で、コツンと額を突き合わせた。

「灯里、お前自分で何言ったか分かってんのか？」

「え？」

　今の気持ちを素直に伝えただけのつもりのあたしは陸斗が何を言っているのかよく分からなかった。