「ごめん、この周囲の状況で気にするなって方が無理」

 美智留ちゃんはそう言って項垂れてしまった。


 陸斗は仕方なさそうにため息をついてから、「じゃあさ」と提案をする。

「俺は怖くないって皆に知られるように何か考えてくれよ。そういうの、得意だろ?」

「日高……」

 確かに、この怖がられている状況を打破すればバレたことも気にしなくて済む。

 美智留ちゃんは「分かった」と言って、やっと笑顔を見せてくれた。


「でもどうやって? ただ言って回るだけじゃ多分信じて貰えないよ?」

 一部始終を見ていた沙良ちゃんがお手上げとばかりに手のひらを上にあげるジェスチャーをする。

「だからって、何もしないで時間を掛けたら多分噂はひどくなっちゃうよ?」

 さくらちゃんは心配そうに眉を寄せていた。


「とにかくこのクラスだけでも落ち着いてくれないかな? これじゃあ授業も落ち着いて出来なさそうだよ」

 周囲に視線を向けて花田くんも困ったように言う。