地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

　遠い目をしながら頭の中であのバカに報復(ほうふく)していると、美智留ちゃんが「でも」と続きを話し始めた。

「あたしが実際に会った貴方は強引なナンパ男から助けてくれた良い人で、工藤とも結構楽しそうに連絡を取り合ってる普通のお兄さんって感じで……。灯里と日高にとってはやっぱり邪魔者なんだろうけれど、二人を無理矢理引き離そうとはしていないし……」

　そこまで言い切ってから、はぁ、とため息をついて俺を見上げる。

「だから、ちょっと距離感とか測りかねてるんですよね。ちょっと警戒した方がいい人なのか、工藤みたいに気にせず気楽に話していい人なのか」

「……それ、俺に言っちゃうんだ？」

　相談するにしても、本人に話すことではないだろう。


「まあ、本人に言うべきことじゃないのは分かってるんですけど……」

　と、一応自分でもそれは分かっているみたいだ。