地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

 次の瞬間には唇が重なっていた。

 触れるだけのキスだけど、数秒後リップ音を立てて少し離れる。


「そんな顔されたら、止められねぇだろうがっ」

 チュッ

 言葉を発しながら、今度は耳にキスをされる。


「キスより先のことはしねぇから……」

 チュッ

 今度は額に。


「だから一日一回の制限、今日くらいは無しでいいだろ?」

 そして視線を合わせた陸斗に、あたしは「うん」という言葉しか返せなかった。

 すでに心が陸斗の熱で(とろ)けきってしまっていたから。


 そうして、本日二回目の唇へのキス――。

 ピンポーン

 ――は、呼び鈴の音に邪魔をされた。


 ピンポーン

 固まってしまった陸斗に、早く出てこいとばかりに呼び鈴がまた鳴る。


 仕方なく離れて行った陸斗。

 彼の熱が離れて、冷静になったあたしはただただ恥ずかしい。


 ある意味来訪者(らいほうしゃ)があって良かったのかもしれない。
 あのままだと本当に勉強にならなそうだったから。