地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

「――り、灯里!」

「っはい!?」

 考え事をしていたら、呼ばれているのに気付かなかったらしい。


「お前、勉強しに来たんだろ? やる気あんのか?」

 眉を寄せて呆れたように言われ焦る。

 ちょっと怒らせてしまっただろうか。


 そう思ったのも束の間。

「それとも……」

 ニヤッと口角を上げた陸斗は、あたしの髪をひと房掴んでそれに唇を寄せる。

「そっち系の事、マジでしていいわけ?」

「っ!!!??」

 衝撃にあたしは持っていたシャーペンを落とす。

 コロコロと転がるシャーペンの様に、あたしも転げ回りたい気分になった。


 大体、あたしの髪はそんなに長いわけじゃないから、髪にキスをするとなったらかなり顔が近くなるわけで……。

 ほぼ目の前に、好きな人の顔があった。


 そんな状態でドキドキするなって方が無理な話で……。

「あ……陸斗……」

 (かす)れるような声で彼を呼んだ。