地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

 眉はしっかり、でも濃くなりすぎずに。

 目はペンシルタイプのアイライナーを使ってまつ毛の隙間を埋めるように描いていく。

 唇の発色は悪くないので、潤いを出すためのリップだけにする。


 左右対称になっているか、しっかりとチェックしたら「完成」と笑って告げた。


「灯里……」

 少し熱を帯びた声であたしの名前を呟く陸斗くんが、真剣な眼差しで見返してくる。

 片手があたしの方に伸ばされたと思ったとき、美智留ちゃんが声を上げた。


「さ、出来たなら皆に見せて頂戴」

 そうして陸斗くんの肩に手を置く。

 そしてボソッと皆には聞こえないように呟いた。


「今ここで二人の世界に入られると困るんだけど」

 と。


 二人の世界?
 え? 今そんな状況だったの?


 それに関してはちょっと良く分からなかった。