地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

　と言っても見ただけでは分かる訳もなく。
　声が少し落ち着くと「じゃあメイクお願いね」と美智留ちゃんに促(うなが)される。

　工藤くんと小林くんがあたし達の椅子を持って来てくれて、教卓を端に寄せる。

　あたしと陸斗くんは向かい合うようにして教壇の上に椅子を置いて座った。


　深呼吸をして、目を閉じる。

　緊張はしているけれど、やることはいつもと同じ。

　陸斗くんの顔に、集中するんだ。


　そうしてゆっくり目を開ける。

　まだ騒がしいはずの教室内の音をシャットダウンした。


　最近日差しが強くなってきたから、ちょっと日に焼けた顔。

　男らしくてこれはこれで良いけれど、将来シミになってしまう可能性も高いから日焼け止めにも気を付けて貰わないと。


　そう考えながら、トーンアップの化粧下地を彼の顔に塗っていく。

　いくら昼間でも、建物の中は少し暗くなる。
　肌色は明るい方が良い。

　コンシーラーで気になる部分を消し、筆を使ってファンデーションを付けていく。