リクエストされたのは大人っぽいメイク。

 ギャップの差が激しいほどインパクトがあるからね、とは美智留ちゃんの言葉だ。


 何故か陸斗くんには反対されたけれど、反対する理由は話してくれなかったのでそのまま押し通されてしまい、今に至る。


 自分にメイクするときはルーティンは必要ない。

 何度もしている自分のメイクは、雰囲気別に色やメイクの仕方が全て頭の中に入っているから。

 流れるように、迷いなく筆を滑らせて行く。



 とは言え、それなりに時間はかかる。

 十五分という時間は本当にギリギリなんだ。


 何とか満足出来る仕上がりになると沙良ちゃんに急かされる。

 気付くとプレゼンが始まっていてもおかしくない時間だった。

「急げ急げ」

 と急かされ教室の前に着くと、丁度美智留ちゃんが話し始めたばかりの様だ。