その咳払いで今あたし達がどこにいて、(そば)に誰がいるのかを思い出す。

 少し視線を動かすと、花田くんと目が合った。


「あー……」

 そう声を伸ばしながら視線を泳がせた花田くんは、目を伏せて続ける。

「取りあえず倉木さんを放してやれよ、日高」

 言われて、陸斗くんは渋々といった様子で放してくれた。


 放してはくれたけれど、肩に手は置かれたまま。

 あれ? と思っていると、あたしは陸斗くんの隣にピッタリとくっついた状態で座り、彼に肩を抱かれている状態になっていた。


 ん? んんんーーー!?


 どうしてこうなったと疑問を浮かべる頭。

 陸斗くんの体温が離れないことで高鳴る鼓動。


 あたしは恥ずかしいやら照れくさいやら嬉しいやらと、混乱が続く。