「花田くん、それぐらいで……。きっと一人だけ無理だって言って皆を困らせたくなかったんだよ」

 あの時そんなことを言ったら、誰かが一緒に待っていることになっただろう。

 皆で楽しもうって時にそんな水を差すようなこと言えなかったんじゃないかな?


「まあ、気持ちは分からなくはないけどさ……」

 怒りを吐き出すように溜息をついた花田くんは続けて言った。


「乗れないなら俺が一緒に待ってても良かったのに。俺、別にそこまで絶叫もの好きなわけじゃないし」

 その言葉にあたしは衝撃を受ける。


 二人きりにさせるの、そっちの手もあったかー!


 協力を頼まれたのはジェットコースターに向かっている途中だったから、その時にはもうその手は使えなかったんだけれど……。