切りながら会話も出来れば良いんだけれど、緊張感をもってはさみを使おうと思うとまだ上手く会話を弾ませられない。

 理容師か美容師、どちらになりたいのかあたしはまだ悩んでいる。

 どっちかにはなるとは決めているものの、カット技術が優れているという理容師も憧れるし、髪結いなども出来る美容師も素敵で。

 最近は顔そりが出来るか出来ないか、女性にパーマを掛けれるか掛けれないかの違いしかほとんどないけれど、別々の国家資格が必要だから迷ってしまう。


 何か切っ掛けでもあれば良いんだけどな……。


 そんなことを思いながらカットを進めていくと、日高の方から話しかけてきた。

「……それで、話ってのは何なんだ? 髪切ることなのか?」

 暗にそんなわけないよな、って感じに聞かれる。