「今まで身内や友達にメイクしたときはそんな事言われなかったし……」

「その中に同年代の男いるか?」

「いないよ。男の人にメイクしたのって、日高くんが初めてだったし……」


 そう告げると、日高くんはニヤァっと笑う。

「そうか、お前の初めては俺だったのか」

 声が嬉しそうだ。


 初めてという言葉を聞いて思い出す。

「キスも初めてだったんだけど?」

 これは寧ろどうしてくれるんだって感じに非難したんだけれど、日高くんは笑みを深めただけだった。


「まあそうだとは思ってたけど……やっぱり初めてか」

 と、嬉しそうだ。


 いや、そこは反省してほしいところなんだけど!?


 少し腹を立てていると、にやけた顔のまま日高くんはあたしを見る。

「そういうわけで、俺はお前が好きなんだよ。分かったか?」