子連れの母親、小学生、のんびりしているお爺さんなど、多様な人がいるけれどそこそこ広さがあるし、樹木も多い。

 この中の一角で話すくらいなら、特に気に留める人もいないだろうと思ったから。


 あたし達は自動販売機で飲み物を買って空いているベンチに座った。


 ペットボトルのお茶を一口飲んで、どう話そうか少し悩む。

 隣を見ると、新発売と書かれてあった炭酸飲料をごくごくと飲む日高くん。


 あたしは意を決して、沙良ちゃんの言っていた通りに聞いてみることにした。


「日高くんって、あたしの事好きなの?」

 瞬間、ぶふーーーっと盛大に炭酸飲料を吹き出す日高くん。


「ええ? ちょっ、まずは拭かないと」

 慌ててポケットティッシュを出したあたしは、日高くんの制服を拭きながら思った。


 やっぱりありえないよね。

 思いもしない事言われてこんなに派手に吹き出しちゃうなんて。


 そう考えながら拭き終わると、ガシッと手首を掴まれた。