地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

　皆、こういう店に慣れていないからか何となくぎこちない雰囲気で席に座ると、マスターは「そうだ」と何かを思いついたみたいだ。

「お客さんが少ないから、材料が色々と余っているの。メニューを任せてくれるならお値段は一人ワンコインで良いわよ？」

　ワンコインって、五百円で良いってこと？


「学生にはこういうところの食事メニューは量も少ないでしょう？　量多めで作ってあげるわよ？」

　人懐っこい笑みで「どう？」と提案して来るマスターは女のあたしから見ても可愛い感じだった。


「え？　良いんっすか？　それなら是非！」

　真っ先に答えたのは工藤くんだ。

　確かにお金もワンコインで済んで、それなりの量を食べられるならお得だし気持ちは分かる。

　でも普通、ちょっとは遠慮するところじゃないかな？


「おい、慎也！」

　たしなめる花田くんだったけれど、マスターは「任せて！」と良い笑顔で請(う)け負(お)った。