「前言わなかったか? 俺の地元は隣の県なんだよ。そっから通いとか流石に無理だってーの」

 言われて思い出す。


 そう言えば日高くんが総長をしていたっていう火燕、だっけ?

 その火燕が主に活動していたのが隣の県なんだっけ。

 と言う事は地元はそっちの方って事だ。


 いくらこの辺りが県境の近くだって言っても、流石に遠すぎる。

 確かに通いは無理だ。


「……それなら、どうしてここに来たの? 地味男でいるなら近くの高校でも良かったんじゃない?」

 ちょっと、突っ込んで聞いてみる。

 応えが無かったらこれ以上聞かないようにしようと思ったんだけれど、日高くんは普通に教えてくれた。


「親父に地味男になるって言ったのは今の学校に受かってからだからな。地味男の格好は、念のためってやつだ」

「そもそもどうして総長やめてこっちに来たの?」

 一番の疑問を口にすると、すぐには返事がなかった。
 突っ込み過ぎたかな? と思ったけれど「あー……まあいっか」と軽い調子で呟き話してくれる。