焦り、500円玉を取り落としてしまう。


暗闇の中に落ちた500円玉をどうにか探し出してあたしは小屋の前に立った。


大丈夫。


落ち着け。


今回は彼氏を作る目的で使うわけじゃない。


少し彼と話がしたいだけだ。


自分にそう言い聞かせて深呼吸をする。


そしていよいよ、500円玉を投入した。


パネルに赤い光が点灯する。


それを確認してから、あたしは彼のパネルの前に立った。


緊張で心臓が早鐘を打っている。


彼が出てきたときになんと言おう?


どんな顔をすればいいだろう?


いろいろな考えが浮かんでは消えていく。


こんなところに突っ立っていてまだ誰かに写真を撮られるかもしれないと考えた及んだとき、あたしはようやくパネルをタッチすることができていた。