そのことが気になってそっと視線をあげてみると、上着もあたしたちが着ているのと少し違うことがわかった。


たとえば胸ポケットに入っているラインの数とか。


ブラウスの襟の形とか。


真里菜が身に着けているそれらはすべて、古いデザインのものなのだ。


どうしてなのだろうと疑問を感じたとき、真里菜と視線がぶつかった。


真里菜は顔を真っ赤にしてあたしを睨みつけている。


その表情に驚き、あたしは今度は地面に視線を向けた。


そのやりかたが不自然になってしまい、真里菜がチッと舌打ちするのが聞こえてきた。


心臓が早鐘を打ち始めて、背中に汗が流れていく。


真里菜の手にはしっかりとカッターナイフが握り締められていて、絶体絶命の状態だ。


でもまさか本当に刃物で攻撃してくることはないだろうと考えて、あたしは咲と光へ視線を向けた。


咲はおもしろいものを見つけたときの子供のような視線をこちらへ向けている。


次に真里菜がなにをするのか、ワクワクしながら待っているようだ。


光は手鏡を取り出して自分の顔を気にしていた。


またニキビが増えたと、今日の休憩時間に愚痴っていたことを思い出した。


光はあたしや美緒よりも、自分の顔のニキビに関心があるのだ。