そんな調子で、実家に帰ってきた。

 部屋に戻ろうとすると、不意に服の袖を掴まれた。

「……なに」

「夜毎様!!どうか私と!!」

「お前みたいなの、マジ無理」

 コイツは、いまメイドとして実家で仕えているけれど、いじめてきたヤツだ。

 やっと金持ちということに気がついて今更付き纏ってくる。

「あたしじゃ……だめ……?」

「本当に奈結以外の上目遣いとかキモすぎ。なんでお前はクビにならないんだ」

 思い切り手を振り払って部屋に向かう。

「待って!!通しませんわ!!」

「……」

 高級そうな服を見に纏った女が両手を広げ、行く手を阻む。

「邪魔だどけ」

「あたくしを誰だと思ってるのよ!!」

「知らねぇよ」

 そう言って自分の部屋に向かう。

 部屋に入り、即鍵を閉めて、ベッドに寝転がる。

「はぁ……」

 疲れた……。

 奈結がいないと、本当に1日がダルくて仕方がない。

ドンドンドン!!

「夜毎様ぁ!!夜毎様!!」

 うるさい……。

「あ、あのっ……すみませんっ……!通してっ……」

 小さく弱々しい声が聞こえて来る。

 ……これは、紛れもなく奈結の声……。