美月……今、前島のことを “ 一晴くん ” って、呼んだ?


あいつ、ここ最近までメガネ野郎のこと、確か、前島くん……って呼んでなかったか?


いつの間に、お互いを下の名前で呼び合う仲になったんだ?


美月……俺のことは、いつまでも『一之瀬くん』としか呼ばないくせに。


俺より先に、前島のことを名前で呼ぶとは、良い度胸してるな。


あー、めちゃくちゃ気に食わねぇ〜。


俺は、前島と別れて1人で前を歩く美月のもとへと走っていく。



「おい、美月!!」

「あれ? 一之瀬くん」


俺を見ると、ぱちぱちと目を瞬かせる美月。


あーやべ。俺を見上げる美月の顔、めっちゃくちゃ可愛い。