8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~

 こんな風に孤児院訪問を週に二回ほど続けていくと、傾向が見えていく。
 孤児とはいえ個性はある。紐編みが上手な子がいれば、全く向いていない子もいるのだ。

「あなたは、出来たものの検品の役をしましょうか。目が揃っているか、汚れがないかを見るのよ」

 フィオナは、彼らをグループ分けすることにした。作るグループと、小さな子に教えるグループ。そしてできたものを検品し、綺麗に箱詰めするグループ。

 男の子たちは、数のチェックや、出来上がった花飾りを金具につける作業の方が向いている。できるだけひとりひとりの特性が合うように配置していく。

 ひと月もすると、子供たちはすっかりフィオナに慣れた。

「フィオナ様が来た!」

 姿を見せると、子供たちが寄ってくる。フィオナはいつも通り、出来上がった商品を確認し、見習いグループの子供たちを叱咤した。
 今日はサンダース商会へと納品する日でもあるので、配達役の子供たちと一緒に歩いて向かうことにした。

 孤児院に出入りするようになってから、フィオナの異動は馬車でとなった。
 そのタイミングで、護衛騎士がつけられた。名前はカイ・コープランド。こげ茶の髪と瞳を持つ、お調子者の騎士である。
 もともとはオスニエルが、騎士団からひとりフィオナの護衛騎士を出すようにと指示を出してくれたのだが、その時に志願してくれたのが彼である。
 どうやら彼はポリーと馴染みがあるようで、時々二人で話しているのをよく見かける。

 孤児院にいる間、外で待っていたカイは、孤児たちと揃って出てきたフィオナを見て襟を正した。

「フィオナ様、サンダース商会に行くのですか?」

「ええ。カイ、悪いわね。歩いていこうと思うのだけど」

「構いませんよ。でも俺が守るのはフィオナ様だけですが」

 彼をつけられた当初は、監視の意味もあるのではないかと警戒していたフィオナだったが、すぐに杞憂だと感じた。良くも悪くも、カイは単純で、あまり裏表が感じられないのだ。
 孤児たちも彼にはすぐに懐き、特に年上の男の子たちはまとわりつくように歩いている。