一方、フィオナはオスニエルから(酔わせて)言質をとったので、王家の管理下にある孤児院のひとつを、王妃から紹介して貰っていた。現陛下の妃は五人いるが、正妃はオスニエルの母親である。
「孤児院の支援は女性の仕事といわれてますが、王家でやっていることは基本金銭の援助なのよ。なのに仕事をさせようなんて……王家の支援金が少ないからだといわれてしまうのではなくて?」
現王妃はフィオナの案に懐疑的だ。しかしここで折れてはいられない。フィオナは前のめりになって説得にかかる。
「王妃様、孤児たちが手に職をつけることが悪いとは私には思えません。やがて一人で生活していくときの力になるでしょう?」
かつて平民のような暮らしも体験したことがあるため、王妃様の説得には熱が入った。結局、彼女はフィオナの熱意に負け、「まあいいわ」と了承する。
「本来は正妃の仕事でしょうけど。まだいませんものね。あの子が正妃を迎えたあかつきには、その事業を譲渡することになるけれどいい?」
「それは……」
途中で取り潰されるようなことがあっては困る。けれど、側妃であるフィオナがこれ以上の権利を得ることは無理だろう。オスニエルが正妃を迎えるまでに、ちゃんと軌道に乗せて、孤児院側の人間が運営できるようにさえなればいいのだ。
「分かりました。それで結構です」
頷けば、王妃は少し驚いたような顔をした。
「ただのおとなしい姫なのかと思ったら、そうでもないのね。やることの覚悟もそれなりにはしているってわけ。……まあ、なにをしてもいいけど、オスニエルの許可だけは取りなさい。あなたの行動は、ひいてはオスニエルの評価につながるのだから」
「はい」
最後のセリフには、息子を思う母の気持ちが込められていた。それに、フィオナは自然にほっこりとしてしまう。
「孤児院の支援は女性の仕事といわれてますが、王家でやっていることは基本金銭の援助なのよ。なのに仕事をさせようなんて……王家の支援金が少ないからだといわれてしまうのではなくて?」
現王妃はフィオナの案に懐疑的だ。しかしここで折れてはいられない。フィオナは前のめりになって説得にかかる。
「王妃様、孤児たちが手に職をつけることが悪いとは私には思えません。やがて一人で生活していくときの力になるでしょう?」
かつて平民のような暮らしも体験したことがあるため、王妃様の説得には熱が入った。結局、彼女はフィオナの熱意に負け、「まあいいわ」と了承する。
「本来は正妃の仕事でしょうけど。まだいませんものね。あの子が正妃を迎えたあかつきには、その事業を譲渡することになるけれどいい?」
「それは……」
途中で取り潰されるようなことがあっては困る。けれど、側妃であるフィオナがこれ以上の権利を得ることは無理だろう。オスニエルが正妃を迎えるまでに、ちゃんと軌道に乗せて、孤児院側の人間が運営できるようにさえなればいいのだ。
「分かりました。それで結構です」
頷けば、王妃は少し驚いたような顔をした。
「ただのおとなしい姫なのかと思ったら、そうでもないのね。やることの覚悟もそれなりにはしているってわけ。……まあ、なにをしてもいいけど、オスニエルの許可だけは取りなさい。あなたの行動は、ひいてはオスニエルの評価につながるのだから」
「はい」
最後のセリフには、息子を思う母の気持ちが込められていた。それに、フィオナは自然にほっこりとしてしまう。



